世の中、全ての事象が教科書通りにいけば、これほど楽なことはない。 万人がストレスを感じることもなく平和に暮らしていくことが出来るに違いない。 でも、現実はそうではない。 というよりも教科書通りにいく方が非常に少ないように思える。
今日あった出来事。
以前から僕が使っている端末のDVDドライブが不調だったので、修理の依頼を情報システム部門のスタッフにした。 メディアを入れれば音で直ぐに判るのだが、ドライブが巧くメディアを挟むことが出来なくてメディアがスムーズに回転しない状態になっているのである。 だから当然の事ながらOSがメディアを認識できないのである。 メディアが回転しないのならそれほどの問題ではないのだが、軸にうまく乗らないまま半端に回転するため最悪のケースではトレイとメディアが接触して記録面を傷だらけにしてしまうのも確認していた。
スタッフ君が来たので状況を説明しようとしたら何やらメディアを挿入しようとしていた。 それは、僕が使っている端末に付属していたものではなく別の時期に導入した機種のものなのだが… 空転しているから「傷を付ける可能性がある」旨伝えたのだが、スタッフ君は「以前メーカーに言われたので」と自分が持ってきたメディアからブートするかどうか確認しようとしていた。 言っても聞かないので「聞く耳持たないなら勝手にすれば。 オレのことナメてるしょ。」と言ってやった。
結局、彼はマイペースに処理をして帰って行った。
それらの行動から、彼は「自分は何でも知っている」と思いこんでいるのではないかと推測される。 何故なら、先ず重要な「事情聴取」を一切行わなかったからである。 その機器に起こっている現象をリサーチせずに、「過去にメーカーから言われた」事を実行して良否の判定をしているのである。 まさしく、メーカーの「サポート」がメーカーの「教科書に載っている」対応を彼にさせたことで、彼はそれを行えば切り分けが出来ると思いこんでしまったのである。 だから、事情聴取をすることもなく勝手に作業して勝手に決めつけて勝手に修理の手配をしたのではないかと思われる。
いや、結果は合っている(だって「ドライブが壊れてる」と彼に伝えたんだもん)のだが、導き出し方が間違っているのである。 まず、状況確認として捨てても良いメディアを挿入して「音を確認する」と同時に「OS上の状況を確認する」のが定石である。 音を聞けば9割方ドライブの内部で起こっていることが特定できるのであるから、それ以上の切り分け手段はないのである。
技術屋は五感を働かせて機器に起こっている状況を把握するのが当たり前だと思っているし、それが一番正しく切り分けを行う手段であると思っている。 端末に付いているメディアを入れてブートするかどうかというのも良いだろうが、そのメディアが他の機種のメディアであればブートする可能性も相当低いと思われるので切り分けは出来ないはずなのである。 スタッフ君がそれに気が付いていれば良いのだが、たぶん気が付いていないだろうと思われる。 なぜなら、その1枚でブートするかどうかを見ただけで結論を出したからである。
彼には「解から入ってはいけない」と何度も言ってきた。 ウチの会社にも多くの「解から問題を導き出す」アホがいるが、今回も「ドライブが壊れている」という解ありきで「(彼曰く)切り分け」を行ったのだから、それが正しい切り分け手段かどうかの検証が不十分だったのである。 おそらく、今のままでは彼は木偶の坊以上のものにはなり得ないし、実践的知識を身に着けることは出来ないであろう。 教科書通りにしか対応しないし、解から問題を導き出すことしかできないからである。
あ〜、こんなヤツ、とっと捨ててしまえ。
コメント